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守りに入ったハリウッド? 第85回アカデミー賞の結果を読む! (その1)

2013年2月28日
エンターテインメント性の高いセレモニーと
バランスの良いオスカーの行方


去る2013年2月24日(現地時間)、米ロサンゼルスにて第85回アカデミー賞の授賞式が開催されました。今年のセレモニーの印象を一言で表すならば、ハリウッドらしい華やかな映画の祭典。問題発言が心配(というか期待・・・?)されたセス・マクファーレンの司会ぶりも実に絶妙で、お家芸とも言うべき下ネタや差別ネタのジョークを小気味よく連発しつつ、得意の歌やダンスを交えながらエンターテイナーとしての実力を見事に発揮してくれました。もともとアニメーターの出身で、映画「テッド」やTVアニメ「ファミリー・ガイ」の監督・脚本家として有名な彼ですが、その一方で声優や歌手としても活躍するというマルチな才能を持つ人物。今回の起用は大成功と言って差し支えないでしょう。

さらに、007トリビュートでは御年76歳の大歌手シャーリー・バッシーが衰えを知らぬ歌唱力で「ゴールドフィンガー」を熱唱し、ミュージカル映画トリビュートでは「レ・ミゼラブル」の主要キャスト総出演によるライブパフォーマンスまで堪能させてくれました。まさにハリウッドの底力をまざまざと見せ付けられた3時間半。全米視聴者数が久々に4000万人台まで回復したのも、その華やかさとエンターテインメント性のおかげと言えるかもしれません。

ただ、視聴者数の伸びに関しては、作品賞ノミネートの大半が興行収益1億ドルを突破する大ヒット作ばかりだったということも影響しているように思います。ご存知の通り、よくアカデミー賞は観客の趣味嗜好とズレていると揶揄され、一般的に知名度の低い作品が高く評価されることが少なくありません。特に近年はその傾向が強いとされてきました。しかし、よくよく考えればそれは当たり前のこと。映画業界人による映画業界人のための賞なのですから。一般観客の意見を反映しろというのなら、既にピープルズ・チョイスやティーン・チョイスといった一般公募の人気投票形式アワードが存在する。そちらに任せておけばいいわけです。

とまあ、ちょっと脱線してしまいましたが、今年は受賞結果も有力作品それぞれにトロフィーが行き渡っており、もちろんそれはこれぞ!という決定的な作品に欠けたせいで票が割れてしまったからだとも言えるのですが、全体として見ると非常にバランスが良い。今年のオスカーはセレモニーも受賞結果も極めて安定していたと言えるでしょう。

=> “やっぱり”と“またもや”の連続 各受賞結果から見えてくる裏事情とは? (その2に続く)