デヴィッド・ベッカム引退発表！ 「一生懸命サッカーをしていた選手として覚えていて」

日本時間、昨晩未明。世界中に衝撃が走った。サッカー元イングランド代表デヴィッド・ベッカム(38)選手が、今季限りで現役を引退することを発表した。

現在はフランスのプロリーグ「パリ・サンジェルマンFC(PSG)」でプレイするデヴィッド・ベッカム。正確無比なフリーキックを武器とし、長らくイングランド代表の「背番号7」、時には主将としてチームを率いた国民的なサッカー選手だ。代表として115試合に出場し、17得点を記録している。さらに「マンチェスター・ユナイテッドFC」(イギリス)、「レアル・マドリード」(スペイン)、「ACミラン」(イタリア)といった世界の名だたるクラブの中心選手として活躍し、数々の栄冠に輝いた。FIFA最優秀選手に二度選出され、FIFAワールドカップには三度出場している。

日本では、2002年の日韓ワールドカップに際して、その端正な顔立ちと、特徴的なヘアスタイルが“ベッカムヘア”として話題になり、サッカー人気を巻き起こす一因となった。妻で元「スパイス・ガールズ」のヴィクトリア・ベッカムとともに、セレブカップルとしてもよく知られた存在だ。

ベッカムは引退に関してのインタビュー内で、「とても難しい決断だった」とコメント。

「もう(引退へ)準備ができたと思っている。とても難しい決断だったよ。まだトップレベルでプレイできるとも思ってるし、これまでの6か月もやれていたしね」

だがその一方で、「内心、トップから外れてしまいたい」と思うこともあったという。

「8か月前に、フランスのリーグでプレイして、優勝して、こんな風に引退する。そんなこと言われたってありえないって答えただろうね。だけど実際には、(現在所属する)「PSG」からはその機会を与えられている」

現所属クラブからは来季へのオファーもあったという。しかしシンプルに「いまがその時だ」と思ったという。

「試合を愛している。だけど――今がその時だと信じている。これまで自分はもっとやれると思ってきたけど、それが問題なんだ」

ベッカムはそう感じた理由を、ジョーク交じりに説明した。

「(いつ今がその時だと感じたかは)ホームゲームで(アルゼンチン代表、バルセロナ所属のサッカー選手)メッシに追い越されたときかな。いや、本当のところはわからないんだ。ただ自分のこれまでのキャリアはとても幸運だったと思っているよ」

ベッカムはこれまで21年のキャリアで関わってきたクラブ、スタッフ、そして監督に感謝している。

「(アメリカの)メジャーリーグサッカーで優勝してから、PSGに来て、フレンチリーグで優勝した。引退にはいい時期だ。すべてのアスリート、すべてのサッカー選手が夢見る“トップ”からの引退だよ。それはなかなかあることじゃない。ぼくはラッキーだったんだ。(2003年にイギリスの)プレミアリーグから出たときも優勝したし、(2007年にスペインの)レアル・マドリードを出た時もチャンピオン。チャンピオンのまま去ることができるなんて、素晴らしいことだよ」


ベッカムは、記者に「人々から、自分をどのように記憶していてほしいか」と尋ねられると、シンプルに答えた。。

「ただ一生懸命なサッカー選手だったと覚えていてほしい。情熱を持って試合に挑んでいたと」

ピッチの外でも、セレブカップルとしてのふるまいや、事業を展開し大きな資産があることなどが注目されることも多いが、彼自身はあくまで“サッカー選手”としてありたいようだ。

「ぼくはもっとも大きなクラブのいくつかでプレイしたことがあるサッカー選手だ。イングランド代表として、国のために115回戦って、世界最高の選手たちとプレイした。とても誇りに思っている」

【動画】引退について語るベッカム選手


なお、英DailyMailは、妻のヴィクトリアの「子どもたちも私も、デヴィッドをとても誇りに思います。この15年間、世界中でプレイする彼の姿を見ることは、とても素敵な旅でした」というコメントを紹介している。さらに彼女は次のように今後の展望も語っている。

「彼はいつでも最高のスポーツマンであると同時に、献身的な夫であり父であり、この決断はとても難しいことでした」
「デヴィッドは今までもこれからも私や子どもたちにとってだけでなく、世界中の人々にスポーツを広める存在です」
「私たちは、これから訪れる新しい人生にわくわくしています。家族として、新しい冒険に踏み出していきます」

“デヴィッド・ベッカム”の名はきっと、彼の妻や子どもたちだけでなく、世界中のサッカーを愛する人にとって、“ひとりの偉大なサッカー選手”として永遠に記憶されることだろう。ベッカムがプロサッカー選手として戦う試合は、今季に残されたあと2試合のみだ。