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一体何が言いたいのか? 松本復興相が辞任会見で引き合いに出した曲とは?

2011年7月6日
フィービ・スノウ
フィービ・スノウ

たった9日間の在任期間だったにも関わらず、問題発言を繰り返し、国民を唖然とさせた松本龍震災復興担当相が5日、辞任した。後任には平野達男内閣府副大臣が昇格している。

松本氏は、就任早々から「民主党も自民党も公明党も嫌いだ」と発言し、野党側から強い反発を受けるなど波乱の船出。周囲の不安が募るなか、被災した岩手県知事との会談で「知恵を出さないやつは助けない」と東日本大震災の被災地の復興を目指す大臣とは思えないコメントで、世間をあきれさせた。

辞任会見で、松本氏は「色々言いたいことはあるが、謎かけをしようと思ったが、今日、これからいなくなるから。私は、これからは。4月に亡くなった歌手でフィービ・スノウというのがいる。また、5、6年前に出たカズオ・イシグロの本ではないが、これからは子どもたちのために『ネヴァー・レット・ミー・ゴー』私は被災された皆さんたちから離れませんから。粗にして野だが卑ではない松本龍、一兵卒として復興に努力をしていきたいと思っている」と語った。真意のわかりずらい発言が波紋を呼んでいる。

カズオ・イシグロは長崎県に生まれ、幼少期からイギリスに帰化した小説家。「曖昧な記憶(信頼の置けない語り手)」が語り手となり、ある人物の人生を描くスタイルを得意としている。悲しい運命を背負った3人の若者の青春を描いた「ネヴァー・レット・ミー・ゴー(私を離さないで)」は、イギリスの権威ある文学賞、ブッカー賞を受賞し、キーラ・ナイトレイ主演で映画化もされている。

フィービ・スノウはアメリカを代表するフォーク・ジャズの女性シンガーソングライター。ジャズ、ブルース、ゴスペル、フォーク、ポップの要素がブレンドされた個性的な音楽スタイルとビブラートする独特な歌声で、“Poetry Man”がグラミー新人賞にノミネートされたことを皮切りに数々のヒット曲を生みだした。今年4月26日に脳内出血の合併症により60歳という若さでこの世を去っている。

フィービ・スノウの代表曲「ネヴァー・レッティング・ゴー」はこちらで視聴可

復興相就任後もジャズバーに繰り出すほどジャズ好きの松本氏。会見では「被災地の人々から離れない」という想いで、『ネヴァー・レット・ミー・ゴー』と口にしたようだが、これはカズオ・イシグロの書名「ネヴァー・レット・ミー・ゴー(私を離さないで)」とフィービ・スノウの代表曲「ネヴァー・レッティング・ゴー」が、タイトルが似ていることから混同して引用したと思われる。

曲の終盤には「紳士のように立ち去るべきなのか。でも、あなたを失わない為ならどんなことをしても戦うつもりだ。正気じゃないことはわかっている。でも簡単に諦めるなんて、できっこない。」と、今の松本氏の状況を重ねてしまうようなフレーズも出てくるから皮肉なものだ。

会見後「いつ辞任を決めたのか」を問われると、「(辞任会見前夜)9時半ごろ、(大好きな60~70年代のジャズが流れている)キングハーベストという店で、友人たちと食事を楽しみながらこれまでを振り返り、『決断の時だろう』と思いました」と話した。松本氏はもしかするとこのときもフィービ・スノウを聴いていたのかもしれない。

もし少しでも、避難所生活を強いられる被災者の気持ちを考えたなら、松本氏も問題発言を繰り返したりはしなかったことだろう。東日本大震災という国家の危機に立ち向かうべき大臣が、復興相就任後にジャズバーに通いとは嘆かわしい。国民として残念である。


【リリース情報】
 追悼企画 フィービ・スノウ 初の紙ジャケット化!
「薔薇の香り」「夜の調べ」「雪模様」「詞華集」

[完全生産限定盤]最新DSDリマスタリング
2011年8月3日発売 ¥1,995(税込) 
ソニー・ミュージックジャパンインターナショナルより発売
 
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