「ア・トライブ・コールド・クエスト」のファイフ・ドーグ、45歳で死去

ア・トライブ・コールド・クエスト(以下、ATCQ)の創設メンバーでラッパーのファイフ・ドーグさん(本名:マリク・テイラー)が3月23日(アメリカ時間)、糖尿病の合併症により死去したことが明らかになった。米「ローリング・ストーン」誌が報じた。享年45。

ニューヨーク出身のファイフさんは、Q・ティップ、アリ・シャヒード・モハメッド、ジェロビ・ホワイト(後に脱退)と共に、1980年代にATCQを結成。1990年の『People’s Instinctive Travels and the Paths of Rhythm』を筆頭に5枚のアルバムをリリースした。

ATCQはグラミー賞にノミネートされた1998年のアルバム『The Love Movement』を最後に解散したが、その後、何度か再結成しており、2010年には「SUMMER SONIC 2010」に出演するために来日した。昨年11月にはデビューアルバムの25周年記念盤のリリースに合わせて、米トーク番組「The Tonight Show Starring Jimmy Fallon」に出演していた。

ファイフさんはATCQでの活動に加えて、2000年にソロアルバム『Ventilation: Da LP』をリリースした。2011年には、ATCQの成功やグループ内の確執を描いたマイケル・ラパポート監督のドキュメンタリー映画『ビーツ、ライムズ・アンド・ライフ　～ア・トライブ・コールド・クエストの旅～』が公開された。

糖尿病を患っていたファイフさんは、2008年に腎臓移植手術を受けていた。遺族からのコメントは以下の通り。

「残念ながら、マリクは糖尿病の合併症により2016年3月22日に亡くなりました。マリクは私たちにとって、愛する夫であり、父親、兄弟、友人でした。私たちは彼を心から愛しています。彼が私たちみんなの人生に与えた影響は決して忘れられません。神や家族の次に、音楽やスポーツを愛していました」

マネージャーのディオン・リヴァプール氏は、次のようにコメントした。

「僕は親友、そして兄弟の死を悲しんでいる一方で、その素晴らしい人生や、彼による世界中の多くの人々の耳への貢献を祝福したいと思います。あれだけ成功していたのにもかかわらず、彼ほど謙虚な人に会ったことはありません。彼は僕に、ポジティブな態度や見解を保っていれば、どんなことでも克服できるのだと教えてくれました。今、僕の偉大なブラザーは眠りにつきました。彼と出会えたことを光栄に思います。Riddim Kidz 4eva」

ファイフさんの幼なじみでア・トライブ・コールド・クエストのメンバー、Q・ティップは、自身のインスタグラムにグループからの声明文を公開した。

「俺たちの心は沈んでいる。俺たちは打ちのめされている。人生が速いということはみんな分かっているのに、これに対しては心の準備ができていなかった。彼の健康状態や闘病については誰もが知っていた。だが、喜びと幸せを得るための闘いが、彼に必要なもの全てを与えていた。家族や自身のソウル、そして周りにいる人たちを幸せにするための闘いは、彼に完全で純粋な喜びを与えていた…父からの召命を聞き入れた、その時まで。僕らは彼の家族、母親、父親、息子、妻、姪たち、ここニューヨークにいる家族、アトランタ、カリフォルニア、トリニダードにいる家族を愛している」

「ファン、アーティスト仲間、音楽メディア、ブログ、ラジオ局、DJ、ソーシャルメディア、音楽コミュニティー全体からの、あふれるほどの祈りやサポートに感謝している。これもまた、彼の喜びの1つであり、彼にとって大切なものだ。遺族はサポートや善意に圧倒されており、感謝している。その音楽や彼による貢献は非常に大きく、計り知れないものだ。君たちみんなが影響を受けたのと同じくらい、僕らも彼に心を動かされた。僕らは彼の日常的な喜びや勇気にインスパイアされていた。彼は苦しんではいなかった。幸せだった。今は祖母の隣に居るのだと考えることで、僕らは慰めを得ている」

MTVは、彼が歩んできたアーティストとしての輝かしい足跡を讃えるとともに、謹んで追悼の意を表し「Check the Rhyme:A TRIBE CALLED QUEST特集」を放送する。

(MTV News)