ピクサーのポジティブヒロインを演じていたのは、苦労人のコメディエンヌだった！ 魅力的で共感できるヒロインを生む秘訣とは？

「トイ・ストーリー3」、「カールじいさんの空飛ぶ家」といった胸を打つ物語を生み出してきたディズニー/ピクサー。そんなスタジオが贈る新たな感動作、「カーズ/クロスロード」が7月15日(土)に公開を迎えた。

本作で登場する主人公マックィーンの新たな相棒が、“ポジティブ女子”クルーズ。彼女をはじめとして、近年のピクサー作品のポジティブなヒロインたちは、一見真逆のように思える苦労人のコメディエンヌたちが演じてきた。しかし、それこそが共感できる魅力的なキャラクターを生む秘訣だった。

近年のピクサー作品では、ヒロインの声優に苦労人のコメディエンヌを起用している。

まず、アカデミー賞長編アニメーション賞を受賞した「インサイド・ヘッド」(2015)。ヨロコビを演じたエイミー・ポーラーは、ゴールデン・グローブ賞の受賞歴もある演技派。しかし、有名私大を卒業するも、30歳でアメリカの長寿コメディバラエティ番組のレギュラーを掴むまで、知名度はなかなか上がらなかった。

次に、世界興行収入10億2,857万ドルを売り上げ、世界で最も売れたアニメーション作品となった「ファインディング・ドリー」(2016)。ドリーを演じたエレン・デジェネレスは、コメディエンヌとして活躍後、第79回アカデミー賞では、セクシャル・マイノリティであることを公表している人物として初の司会となった。しかし、それを隠している間は苦しみ続け、カミングアウトした当時は仕事が全くなくなったという。

そして、本作で新キャラクターとして登場する“ポジティブ女子”クルーズ・ラミレスを演じるのは、コメディエンヌのクリステラ・アロンゾ。クリステラの性格や特徴など、あらゆることがクルーズのベースとなった。彼女の入った業界は新人への風当たりが強く、ブレイクするのが難しかったという。「彼女は多くの不利な状況を顧みずに、自分の道を探し出さなければならなかったんだ。クルーズのレースにかける情熱は、そのクリステラの経験を強く反映したものだよ。」と製作のケヴィン・レハーは語る。

一方、クリステラは人気が出るまで、業界に居場所がないと感じていたと言い、そうしたもろい面もクルーズに反映された。クルーズのポジティブさに、クリステラの苦労人としての部分が加わることで、深みとギャップが生まれる。脚本を務めた一人のマイク・リッチは「クリステラの声を聴いた瞬間、“なんてこった、これこそ私がやろうとしていたことだ”と思えたんだ」と絶賛する。

ヒロインをコメディエンヌが演じることで、明るさやユーモアが強まる。一方、ヒロインたちがポジティブなキャラクターたちなのに対し、コメディエンヌたちは苦労人。ポジティブなだけでは真実味に欠けるが、その裏に苦労してきた部分や、もろい部分といった要素が加わることで、観客が共感しやすくなり、涙を誘う。

脚本のキール・マーレイは、本当の夢を仕舞い込んだクルーズについて、「多くの人々にとって、最大の障害というものは、世間から与えられる限界ではなく、むしろ、自分が自分に与えてしまっている限界なのです」と語る。

果たして、クルーズの本当の夢を知ったマックィーンは、最後にどんな決断をするのか…。この夏、衝撃のラストに誰もが涙する。


■公開情報
「カーズ/クロスロード」
7月15日(土)　公開
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
(C)2017 Disney/Pixar. All Rights Reserved.